2013年12月28日

「今年のベスト」【本】 Part 1

「今年のベスト」【本】編では、今年読んだ本の中からベストなものを2冊を紹介しようと思います。

まず今回紹介するのは、かなり個人的な趣味に走ったチョイスになってしまいましたが… (^_^;;
《午前零時の自動車評論/沢村慎太朗著》
です。

Book1.jpg若い男性が自動車に興味を示さなくなってしまって久しく、今やクルマ談義に熱くなるのはオジサンだけという寂しい状況になってしまいました。
その影響か自動車関連の雑誌は種類も減ってしまい、内容的にも往年の輝いていた時代を知るものからすると元気がないというか薄味な記事ばかりで、読んでいてもぜんぜんアドレナリンが湧いてこないんですよね…
そんな不満を持ったオジサン達の「心の乾き」を癒してくれるのがこの本なのです!

本の中身は、車のあらゆる機構のメカニズムの分析あり、辛口の試乗レビューあり、さらには誰も知らない過去の車の歴史を紐解いたり、ときには環境問題に言及したり…と本当に幅広いですが、全体を貫いているのがマニアックな探究心なのです。現在第5巻まで出版されているシリーズですが、たとえば第1巻に収録されている「ふぞろいのカムシャフトたち」を読んだときはその深い内容に圧倒されてしまいました。(タイトルの「ふぞろいの〜たち」というのもオジサン達にはビビッときますよね(^_^))
その内容を簡単に紹介すると…

Ferrari V8.jpg「ふぞろいのカムシャフトたち」

男なら一度は乗ってみたい車 ――― Ferrari。
そのFerrariが1994年から1999年まで生産していたV8ミドシップモデルF355のエンジンのお話です。
F355という車名の由来は、搭載しているV8エンジンが排気量3500ccで5バルブだということです。

昔のエンジンはシリンダー1つにつき吸気1個+排気1個合計2個のバルブを持っていました。現在では吸排気をより効率良く行えるように吸気2個+排気2個とした4バルブエンジンが普通になっています。そこからさらに高性能化を追求し吸気バルブを1個増やして合計5バルブとしたのがF355のエンジンなのです。
その5個のバルブをエンジンの回転に合わせて開閉させるのがカムシャフトです。カムシャフトは吸気バルブ用と排気バルブ用がそれぞれ各バンクに1本ずつあって、V8では左右のバンクを合わせて全部で4本のカムシャフトがあります。カムシャフトのカムの形によってバルブの開閉のタイミングが決まるのですが、通常は3個の吸気バルブは右バンクでも左バンクでもそれぞれ同じタイミングで開閉させます(排気バルブも同様)。だから左右のバンクに使うカムシャフトの各カムの角度は同一のはずです。

ところが、F355の場合は左右のバンクで吸気用のカムの角度が異なっているというのです。正確に言うと、片方のバンクだけが3個の吸気バルブのうち真ん中の1個を担当するカムの角度をずらした形状になっているのです。

これは常識的にはあり得ない設計です。なぜかというと、カムの形状が異なるとバルブの開閉タイミングが異なることになるのでその結果エンジンの出力も異なってきます。もし一つのエンジンの左右のバンクで出力が異なっていたら、位相がずれながら1秒間に10〜100回転もする左右両バンクの出力を合計した全体の出力は高速で微振動することになります。

どうしてわざわざこんなエンジンのスムーズさを損なうようなことをするのでしょうか?
実はエンジン出力が完全に滑らかな場合より細かく微振動する場合のほうがタイヤと地面の間のトラクションがかかりやすくなり加速力が増すのです。このようにエンジン出力を微振動させることで加速力をアップさせるテクニックはFerrariのF1レーシングカーにも採用されています。(というより、F1で開発された技術を市販車に応用していると言った方が良いかもしれません。)
Ferrariのふぞろいなカムシャフトには深〜いわけがあったのです。

とまあこんな感じで、雑誌の記事などには絶対に出てこないような濃いお話がぎっしりつまっていて車好きにはたまらない1冊です。

【恋人倶楽部COCO/福岡】 ホームページ

posted by 山岡 涼一 at 04:20| Comment(0) | ブック・レビュー
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